いや、ニュース見てて、みょうなことが気になっちゃったもんで・・。

六カ国会議だったか、その作業部会だったか忘れたが、ロシア代表が出てきた。
肩書きは聞きおとしたが、“アレクセイエフ”って名前だけはしっかりおぼえてる。ロシア人の名前、とくにアレクセイなんて名には、かってに鼓膜が過敏になるぜぃ(笑)。

そのロシア代表の、車のドアを開けてた人がいた。
SPか、秘書か、運転手か、なんにせよ使用人だろう。
その人が、左手でご主人様のために車のドア開けながら、右手でしきりと耳にタバコ、はさんでたんだよね。うまくはさまらなかったらしくて何度もやり直してたんで、いやでも眼についた。
(ちなみにこの一瞬の光景は、NHKニュースでしか流れなかった)
スーツすがたで耳にタバコ、ってのが、なんとも見なれないすがたで、印象に残った。すくなくとも、いまの日本で、スーツ着てタバコ耳にはさんでる人って、まずいないよねえ?

・・なんか、なつかしい、って気がした。
だって、私の周囲でいま、耳になにかはさんでる人って、見たおぼえないもん。ひとむかし前には、けっこういたような気がするが。
えんぴつや、ボールペンを耳にはさんだ電気屋さん。赤鉛筆を耳にはさんだ競馬場通いのおじさん。筆記用具なら、まだ探せばどこかにいそうな気もするが。
タバコ耳にはさんでた、っていうと、ねじりハチマキの大工さん、ってイメージが私にはあるんだけど、どうでしょ?
あと、思い出すのが、終戦直後の、駅にたむろってた浮浪児の報道写真。
いつどこで見たのか、子どもなのになぜかタバコを耳にはさんだ姿で補導される写真てのが、眼にやきついてる。

それにしても、なぜ、タバコを耳にはさむんだ? ポケットに入れると、紙巻タバコはつぶれるからか?
もしかすると、タバコを箱でなく、バラ売りで売買してたころの風俗なのか?
ひょっとして、ロシアはいまだに、タバコをバラ売りしてる国なのか?
それとも、あれはたんに、あの使用人だけの、個人的な習慣なのか?

なんにせよ「耳になにかはさむ」ってのは、あまり上品な習慣じゃなさそうだ。
とはいえ・・古きよきフランス映画の傑作『天井桟敷の人々』で、華麗な殺し屋ラスネールの若い子分が、酒場で親分に「あいつにケンカ売ってこい」って言われて、耳に小さな百合みたいな形の花をひょいとはさんで立ち上がる、って場面がみょうに印象的で、好きだったりする。
あれは、欧州の洗練のなかでのチンピラ風情だからこそ、いいのだ。

ふしぎだなあ、と思うのは、アメリカ映画(TVドラマふくむ)で、こういう風俗を見たおぼえ、いちどもないんだよね。たとえば、西部劇の時代でも。なぜだろう? 忘れてるだけかなあ?

なんか、みょうに気になりだしてしまったよ、「耳はさみ文化」。
ちょっと、調べてみよう。(・・って、どう調べようがあるんだか・・笑)。