ラフマニノフ『鐘』・・浅田真央は今、どこへ向かおうとしてるのか?!

NHKスペシャル浅田真央特集、去年の特集はあまし出来がよくなかったんで、今回もあまし期待してなかったんだが・・
バンクーバー五輪に合わせたNHKスペシャル浅田真央 金メダルへの闘い』、これはGOOD JOBだった!
(しかし内容の素晴しさに反して、このタイトルの凡庸さ☆・・もちっと何とかならんかったんかなもし?)
 
バンクーバー五輪にぶつけてきたFP、ラフマニノフの『鐘』。
初めてお披露目したジャパンオープンでは、見た人みんなとまどったんでは?(もちろん私もだ☆)
真央ちゃんつーより、女子が滑るのにふさわしい曲なのかこれは?と思ったよ。ラフマニって一見、甘くて感傷的だけど、ドラマチック&スケール巨大&隙がない。おチャイコ様の方が、まだつけこむ隙があるんでは〜?なんて思ったな。
 
前季の『仮面舞踏会』でさえ、とくに終盤、ものすごい密度だったのに。ラフマニ『鐘』は、その上を行ってる。どっこも休むとこなさそーなプログラムだな、とは思ってたが。
並はずれたジャンプ(ご存知3アクセル)と、表現力で加点を狙えるトランディション(つなぎ)と。なんと、その両方を完璧にやろうとしてたとは!
(そして、前季『仮面舞踏会』は今季SPに仕立て直し、うまくいかなかったら前季FPをまた演じればいいという退路を、いわばふさいだ形にもして・・覚悟のほどが見えるね)
 
で・・私なりの、ラフマニ『鐘』の印象。
ジャパンオープン〜GPシリーズ(仏杯・露杯)あたりはまだ発展途上の印象で、3アクセル決まらず最大のスランプ。
重たい荷物を山ほど積んだ荷車を、ぜいぜい息はずませて、必死で押しながら上り坂登ってる感じ。きゃしゃで可憐な真央ちゃんが、巨大さ重さにおしひしがれそうになりつつ耐える姿。それを見せるのが狙いか?なんて思ってた。
 
ハラハラしつつ全日本。3アクセルはダウングレード取られたが、あの高さと速さで跳べりゃ大丈夫、ひと安心した大会。かなり持ち直してきた。
こりゃもしかして、白鳥のイメージかな?とも思えてきた。水上では優雅に浮かんで見えるが、ぢつは水中では必死で水をかいて進んでるって姿。(『巨人の星』で、花形満がこれが理想だってよく言ってた、アレだ☆)
 
そして、よくまあ五輪直前に出場するよなぁと思ってた四大陸。
何はともあれ3アクセル2回跳び、両方とも認定。滑りこんできてこなれたせいか、少し振付を手直ししたせいか、やや余裕さえ出て、何ともいえない凄みが出てきた。
何なんだあの、北冥の巨大な氷山が、じわじわこっちへ向かってくるのを見るような迫力は?水平線はうす昏(ぐら)くて、どれほど巨大な氷山なのか、全体はまだよく見えないが。
 
何かが起こりかけてる。
これって、完璧に演じてもいい、天が許してくれるプログラムなのか?もしも五輪の大舞台に、このプログラムの完成が間に合ったら、完璧に滑りきれたら。
五輪史上の伝説的名演技・・サラエボのトービル&ディーンの『ボレロ』、ソルトレイクヤグディン『仮面の男』・・以来の、鳥肌モンの奇跡を目撃しちゃうんじゃないか、私らは?
 
これはもう、五輪で金メダル獲れるかとか、キム・ヨナとの一騎打ちに勝てるかとか、そんなレベルは軽く超えてるんじゃないのか?
真央ちゃんの個人的限界、いやそれ以上に、フィギュアスケートって競技の限界に挑戦してるんじゃないのか?
ともかく・・バンクーバー五輪で、何かが起こりかけてる。
恐れつつ、畏れつつ、見守ろう。