世界水泳さいごの日は、チーム演技でしたね。団体演技は、いちばんシンクロらしくて好き♪
「日本の出場順はロシアより前だったから、点が抑えられてしまった。でもって実績あるロシアには、単調に見えた演技にも、審判たちは考えなく満点を出した」
新聞には、そう書いてあった。たしかにそんな傾向はあった。じっさい、滑走順の問題は、フィギュアスケートでもよくあることだ。
正直、私もロシアのチーム演技は、あまり印象に残ってない。ただ「えっこれで終り? なんかヤマがないような・・」と思ったのと、「これに満点出すかぁ〜?」とは思った。それはもう、ソロのデデューの満点連発のときより、もっとはっきり、そう思った。
いつぞやのロシアの、ムソルグスキー展覧会の絵〜バーバ・ヤガーの小屋〜』(※『禿山の一夜』だったかも)の魔女の演技は、もっと動きがきりりとして、妖艶で、圧倒されたのに・・。
ロシア・ペアの芸術点満点は、なっとくいったんだけどな〜。ノーミスだったし。
 
でもまあ、音楽に合わせる動きと、全員がそろってるって点では、ロシアはやはりレベル高かった。どれが難易度の高い演技かなんて、シロート目には判んないし。はやい話、満点こそなっとくいかないけど、ロシア1位はなっとく。日本の2位も、なっとく。そう思えたけどな。
技術点、芸術点、そして国別の審判と、ルールそのものも、シンクロはフィギュアスケートによく似てる。それも、問題点までふくめて、改正前のフィギュアスケートの得点法にそっくり。ソルトレイクでの買収問題があったからにせよ、このままじゃいかん・・と改正にふみきっただけ、フィギュアスケート界のほうが前向きだ、と思った。
 
日本チームは、きれいにまとめたな、って印象のみ。ひとつひとつの動きはきれいなんだけど、通してみると、なにがテーマだったの?? と思った。演技としては、フリー・ルーティンの『ライオン・キング』が傑作だったと思う。「あの競技だけ、ロシアが出てなかったから、日本が金メダル獲れたんだ」なんて思わない。たしかにあれがいちばん充実してたもん。
しかしフリー・ルーティン、チーム、ペア、シングル。すべてちがう演技って、選手の負担が大きすぎない? ぜんぶ出場は、気の毒だろう〜。あげくに毎日金メダル、金メダルとさわがれた日にゃ・・。
などと言いつつ「シンクロってエキジビないの〜? ぜひ見たいのに」なんて思ってもいるけどさ(笑)
 
「勝てるシンクロと、素敵なシンクロとはちがう。われわれはシンクロのレベルを上げるためにやってるんじゃない」・・日本チーム・コーチの、この発言が解らない。「〜シンクロのレベルを上げるためにやってるんだから」なら、判るけど。
シンクロに限らず、日本のいつもの「金メダルが獲れればOK、獲れなきゃ失敗」みたいな傾向には、ちょっと待てよ、と思う。私はあのペア演技『風とバイオリン』すごく素敵だったと思うし、1シーズンで消化できるようなシロモノじゃないとも思うし、もっと泳ぎこんで、のびのび演技するのを見たい。(というかあの演技は「素敵なのに、いかにも泳ぎこみ不足」が、シロート目にも見えてしまった)
フィギュアスケートだって、おなじ演技を何年も滑りこんだほうが、確実にいい演技になるじゃんか。
 
過去の日本チームの演技『夜叉』『カラテ』は素晴しかったもん。いつも新しい可能性に挑戦してて。
今回の『風とバイオリン』も、意欲的だったし、審判に理解されなかった(だから点が伸びなかった)なら、理解しやすい形、あるいは泳ぎやすい形に、少しずつ変えていけばいい。
「われわれはシンクロ界の発展のため、あえて点のとれる判りやすさより、新境地を選んだのよ。ふっ、まあ来シーズンを見てなさい」・・日本のコーチには、胸はってそう言ってほしかったよ、私は。
なにより、あの才能あふれる振付師を失望させては、いけない。あの人が母国フランスに帰って、デデューあたりに振付したら、鬼に金棒、“ひとり別次元”になっちゃう気がする☆
 
と、みょうに話が固くるしくなってしまったが・・。
むしろ、チーム演技では、なにげに中国の『囲碁』が気に入った。
白と黒の陰陽の衣装、プールにとびこむ前の、正座してぴしりと石を打つしぐさ。テーマの選びかたが秀逸。アメリカ・チームの『チェス』より、ずっとよかった! フィギュアスケートでも中国選手の、まるで氷に貼りつくようにぴたっと着地するジャンプは定評あるが、やはり身軽なせいか、スピンのきれいなこと! あれでリフトや、全員そろった動きの確実性が高まったら、日本はロシアばかり意識してる場合じゃないよ、ホント。
 
ぢつは、いちばん好きになったチーム演技は、カナダのだった♪
とにかくリフトが独特。遠吠えに合わせて、オオカミのように威厳をもって四つんばいで歩く、なんてリフトがまずイイし、何人かでカヌーの形を作り、リフトはカヌーを漕ぐ人、ってのがまたイイ。
そのあとのリフトが最高。1人が立ち上がり、いきなり肩すくめて上腕あたりをこすって「お〜〜寒!」
観客席、爆笑。30℃超すバルセロナのプールのまんなか、水着すがたでぶるぶる、ってのが楽しい。カナダ・チームは明朗で判りやすく、スケール大きく、つねに大自然をテーマに選んでくるのが好感。思わずヒイキになっちゃいました。
 
そんなわけでシンクロ、フィギュアスケート好きには、オススメ。長いフィギュアスケートのオフシーズンも、退屈してるヒマ、ありませんぞ・・(^_-)−☆