ひまな週末の昼さがり、なんの気なしに、新体操みてたです。
いつも思うんだけど、たとえば2人の選手の「どっち好き?」って言われると「そうねー、どっちもそれぞれの良さがあるし・・」って迷うのに、3人になると「この人がいちばん好き!」って即座に決められるのって、なぜなんでしょうね?
 
で、新体操の、いわゆる3強。
ロシアのカバエバ、チャシナ、そしてウクライナの、ベッソノバ。
だれが気に入ったかって、チャシナ。
なぜって・・ひとめ見たとき「サーシャに似てる!」と思ったから。
(注:私にとって“サーシャ”といえば、コーエンではなく、アブト様以外にはありえない。フィギュアスケート界のロシアの華。男子だが、胡蝶のようにはかなげ、可憐である)
 
細っこくて、手脚が長くて、顔が小さくて、どこかさびしげ、はかなげ。
そんな体型に、鍛えてきた充実感と緊張感がいっぱいにつまってると、いたいたしくて、演技が終った瞬間、肩を抱きよせてはげましてやりたくなる。顔を見ると、スラヴそのもの。
天才といわれるカバエバが強すぎて、いつも表彰台には登るのに、これまで、いちばん高いとこに登ったことがないという。・・な〜んて聞いてしまったら、応援したくなるのは人情だよな。
なによりサーシャに似てるのは、細くてはかなげなのに、動きにシンの強さが見えるのね。一瞬たりとも止まってない、いきいきと速い、小気味いい動き。小鹿みたい。可愛い。
すごく強い人の“王者のオーラ”こそ、まだないけど、こういう選手のほうが本来、私は好きである。
 
得意なフープ(フラフープみたいの)は、もちろんいい。が、苦手らしいボールの演技、あまりひねった技はなかったが、リズムある動き見てるだけで、心地いい。すごく上手い演奏者が、さらっと小品を弾きこなすのを聴いたような気分。
今回は好調だったようで、最終演技まで、チャシナがトップに立った。
チャシナの最終演技、ハラハラしながら見守ってたが、小さなミスをやってしまった。こん棒を2本とも頭上にほうり投げたあと、1本見失って落としてしまい、一瞬きょろきょろしてた。かわいくて笑ってしまったが、本人は必死だったろう。
ああ、せっかく優勝のチャンスなのに、と思ったら、カバエバは最終演技でフープを場外にころがしてしまうという、もっと大きなミスをやってしまった・・。
チャシナ、逃げ切りで初優勝。いい瞬間を見た。カバエバはかわいそうだったが、去年まで2連覇とかいってたから、ま、たまには、がまんなさい。よかったねチャシナ!
 
カバエバは・・脚がみごとに180°開く、体のやわらかさはすごい。中国雑技団なみ(笑)。“王者のオーラ”出まくり。やや出すぎかも。
「ほーら私のすごさをごらん、上手でしょ!」って自信は、あんまり前面に出すぎると、観客にはそれしか見えなくなるぞ、って教えてやりたい。
あの「へのへのもへじ」のような眉の描き方はなんとかならんか。
 
3番手ベッソノバも、可憐。人気はこの子が一番らしい。
白鳥の湖』の曲で演技するフープのときの衣装が、サーシャ・コーエンフィギュアスケート界、女子の華)の『ロミオとジュリエット』のに似てた。そういえば少しフンイキも似てるかも?
今回、予選はパーフェクト。なのに・・おなじ演技の本番は、控えから出た瞬間ガチンガチンに顔がひきつってた。おいおい大丈夫かよ〜と思ってたら、あんのじょういきなりミスってしまい、あとは見てるのが気の毒なほどミス連発。「若いなぁ・・」とタメ息。
これで安定感が出たら、見事だろうな。泣くなベッソノバ、未来はきみのものだ!
 
というわけで芸術点のある競技は、あいかわらず、みさかいなくハマる。
そうそう、新体操の採点は「技術」「芸術」のほかに「規定」とかいうのがあって3本立で、ミスるとそこから減点していくっていう、フィギュアのSPみたいなルールなのね。
これはなかなか面白くて、フィギュアもこういうルールにしてみてもいいかも、とシロートとしては思ったりした。(後記:けっきょく、そうなっていきましたね・・)
 
それにしても・・どの選手みても、顔はきれいだわ手脚は長いわ体はやわらかいわバネはあるわ、スケートが得意だったらフィギュアもイケるよな、って逸材ばかり。どうしてこう選手層が厚いんだ、ロシアって?男子女子問わず、おっいいな、と思うとロシアか、旧ソビエト系選手ばっかだもんな・・。
まっとにかく、アテネ五輪の楽しみがまたひとつ増えたわ♪
ちなみに、チャシナのロシア語インタビューで「ヌージナ」の一言だけ聞きとれて、うれしかった。意味は「・・しなくてはならない」、英語でいう「must」のことです。おわり。