ああ、またしても「12歳の犯罪」かぃ。それも、こんどはネットがらみ、とか。
第一報きいたときは「けっ、親にカネはらってもらって、つなぎっパでHP持ってチャットして、ケンカしたから殺しちゃいました、かよ。いいご身分だな」としか思わなかったが・・。聞けば聞くほど、をいをい、ちがうだろ〜、としか思えなくなってきた。
だってさ、たとえば。
  
※加害者A子ちゃんと、被害者B子ちゃんは、2人ともいわゆる“引きこもり”で、ネット上で知り合った。オフラインで会ったこともなく、電話番号も教え合わず、おたがい顔も、声も知らない。パソメールとチャットだけのつながりだった。
ところがある日、ささいなコトバの行きちがいが、ケンカに発展。よくあることだ。A子ちゃんは、どうしてかB子ちゃんの所在をつきとめ(※この齢でそこまでできるか疑問だが、まあ仮定の話)、B子ちゃんを家まで訪ね、いきなりナイフで刺してしまった。
 
・・これならたしかに「顔の見えない、ネットというコミュニケーション手段」に問題あり、だろうけど。
あの2人は、そうじゃないじゃん。同じ学校・学年、同じクラス、いやでも毎日、顔つきあわせる関係にある。しかも、2人には共通の友人・C子ちゃんもいた。この第三者のおかげで、離れていたい2人がキョリをおけないってのは、ありそうな話だ。さぞ、C子ちゃんはつらい立場だったろうなあ・・もとい。
たしかにネットが、もめごとの種をよけい増やす結果にはなっちゃったようだけどね。
 
「面と向かわないネットの関係」がよくない、よくないと皆さんおっしゃるが、ケンカして頭に血がのぼってるとき、相手の顔見たらよけいムカついちゃいそうだから、あえて「顔が見えない手段で、冷静に話し合いたい」と思うのは、むしろ自然だろう?
そもそも殺害現場に2人きりで行ったのだって、話し合うためだったかもしれないじゃない? そして、まだ怒ってたら、呼び出されたって、行かないよ。B子ちゃんの側にも、なんとか解決したい気持は、あったんだと思う。
 
一方的に自分の言いたいことだけ言えば、相手と交流できない・・なんてのは、なにもチャットやメールに限らない。電話だって、手紙だって、あるいは相手が目の前にいる状態だって、同じこと。
なーに、顔合わして話してたって、気づかないうちにコトバで相手を傷つけてしまい、しかも本人は気づかないまま・・なんてのも、ありそうなこと。
たしかに、文章てのは・・そんなつもりなかったのに、書いたのとちがう意味にとられて怒らせてしまい、そうなるともう何を言っても火に注ぐ油にしかならず、あげ足のとり合いのあげくケンカ別れ。大人になったっていくらでもあるよ、そんなこと(泣)。
 
つまり問題は、インタネやチャットにハマるのが悪いんじゃなく、もっと基本的なこと、「コトバってものには、ここまで他人を傷つける力があるんだよ」ってことだと思う。
A子ちゃんにしてみれば、相手を殺したいと思いつめるほど大きな傷だったのに、B子ちゃんにはそれが判らなかった。たぶんB子ちゃんにも悪気はなく、A子ちゃんの傷の大きさが判らなかった。だから、嫌がること何回も言っちゃった。それだけのこと。
(ニュース聞いてると、B子ちゃんだけが一方的にいやがらせカキコしたんじゃなく、2人ともお互いさま、って気がする)
コトバには、それほどの力があるものなんだよ。だからとくに、一方的に自分の言いたいことを言えちゃう場では、気をつけようね。とくにHPは、誰が見るか判らないから、さらしものにするようなことは、よそうね。・・それだけのことじゃん?
 
どうも今回の件は、日ごろからパソコンやインタネをうさんくさく思ってた大人が「それっ」とばかりに非難に回ってる気がする。論点がズレてて、ムカムカしてくる。
だいたい、インタネやチャットが小学生によくないなら、普及率を考えたら、このテの事件はもっと多発してんじゃない? 「これからの時代、パソコンぐらい扱えなきゃ生きていけない」って、これまでむしろ子どもにすすめてきたのは、大人だろうに。
 
ひとむかし前は、マンガが目の敵だった。数年前なら、ゲームとホラービデオのせいだった。それが、いまはネットに変ったにすぎない。子どもたちが面白がって熱中するものは、なんでもこうなるのね。
若いころ、先輩に教わったコトバがある。「自分が理解できなくて、他人があまりにも熱中してるものって、敵視したくなるんだよ」・・それなんだろうな、つまり。
 
だから、A子ちゃんの問題は、ネットにハマったことじゃない。
たとえば共通の友人・C子ちゃんをつうじて、B子ちゃんとの関係を改善できなかったこと。C子ちゃんにグチって、気分転換ができなかったこと。
髪型が似合わんとか、デブとか、いい子ぶりっこ、じっさいB子ちゃんは何を言ったかしらんが、C子ちゃんにグチって「そんなことないよー」「なにそれ、B子ちゃんひどいねー」って言ってもらえば、すむようなことだったんじゃないの?
(いや・・そうしてみたけど、それじゃ歯止めにならなかったのか?)
コトバってものには、そういうプラスの効能もまた、あるはず。それを使いこなそうとせずに「作家になりたい」なんて言ってんじゃないのよ、A子ちゃん。
B子ちゃんもだが、あなたもまた、コトバってもののもつ力を、知らなさすぎる。
 
A子ちゃんのHPそのものは、たしかに極端な表現が多いが、それほど奇異とは思わなかった。「エロいこと考えてご飯に鼻血たらす奴」なんて現実にいるかー? ってむしろ微笑ましかったけどね。
死とたわむれる時期、大人が眉をひそめるって理由だけで悪いことに近づく時期、激しいことばで周囲をののしる潔癖な時期、そのへんまでなら身におぼえもあるが・・。
よくある友だち同士のモメゴトから、いきなり殺人事件にまで発展する、A子ちゃんをそこまで短絡的にさせたものを説明するなら、たかがネットの影響なんて単純なもんじゃないだろう。
私の、今回の事件に対しての感想って、まあ、そんなもんです。
 
追伸:ついでに、識者のかたがた、
「仲よしの女の子同士が、連れだってトイレにいっしょに行きたがるのは、同一視というものである。友人を自分の延長と思っているのだ」なんて重々しい発言は、たのむからやめてください。あれは、ただの“習慣”です。 〜経験者より〜