Dr.マーク・スローン/薄氷の女王−3

ここで「薄氷の女王」のあらすじ。
 
面倒なのでA子・B子とする。
2人は激しく競い合う、米国の花形女子フィギュアスケーター
A子はある日、リンクでナイフを持った暴漢におそわれる。さいわい軽いケガですむ。
暴漢はその場で逮捕され、かれはライバルB子の、元マネジャーだったことが発覚。
直後の全米選手権、痛みをこらえて滑るA子のすがたは観客の同情をあつめ、拍手かっさい。
B子には野次とブーイングの嵐。おかげでミス続出、さんざんな結果。
A子、みごと優勝。CMやアイス・ショーのオファー殺到。
 
深夜、製氷作業も終った無人のリンクで、ひとり黙々とジャンプを練習するA子。
そこへ、A子にケガを負わせた暴漢・B子の元マネジャー登場。
じつはこの2人は深い仲。「ライバルに襲われた」事件は、2人でしくんだ狂言だった。
ところがA子のけなげな演技が効きすぎ、裁判でかれの罪は予想より重くなってしまった。「あれっぽっちのカネじゃ引き合わねえ。もっと分け前よこせ。いやならすべてマスコミにぶちまける」と、かれはA子をゆすりに来たのだ。
思わずカッとなり、脱ぎかけたスケート靴をふりあげ、かれを殴りつけてしまうA子。
運悪くブレード(スケート靴の刃の部分)が頭に当たり、かれは即死状態で氷上に倒れる。
A子は、B子のロッカーからスケート靴を持ち出し、自分のブレードと交換。B子の靴をリンク近くのゴミ箱に捨てておく。
ついでにホテルのB子の部屋に無言電話し、B子が部屋で眠ってることも確認。これではアリバイも証明できなかろう。にんまりするA子。
 
翌朝、事件発覚。ブレードに被害者の血のついたB子のスケート靴、見つかる。
当然、容疑はB子にかかる。A子襲撃に失敗したための、内輪モメによる殺人だろうと。
こうして、すべてA子の独り勝ち、と思われたが・・。
 
A子が暴漢におそわれたとき、たまたまリンク見学に来てた女医(これがアマンダ)が応急処置、自分の働く病院にかつぎこむ。そこの上司が、推理好きの医者、マーク・スローン。
スローン先生は、凶器であるB子のスケート靴が、あまりにもかんたんに発見されたことを疑う。そして被害者の死亡直後、B子の部屋にかかったという無言電話にひっかかる。スケート関係者のホテルの部屋の番号は、関係者以外は知らないはずなのに・・?
 
事件直後、念のための検査で撮ったレントゲンで、スローン先生は、A子が右腰をひどくいためていることを知る。こんな状態では激痛で、滑るのはつらいはず。事実、A子は全米選手権の直前の競技会は欠場した。それなのに、今回は出場したわけは・・?
スローン先生は、過去の競技会のビデオを見て、A子がジャンプの着地を失敗してフェンスに激突、右腰をぶつけたのも確認する。
さらに、A子がメンテに出したスケート靴を、店から拝借して、調べてみる。
「スケート靴のブレードは、選手の好みによってちがう。浅ければスピードが出るし、深ければコントロールが効く。しかし、きみの靴のブレードは、いつものとちがうようだね」
「そうよ。ちがうタイプのブレードを試してみたくなったの」
A子、あくまでもしらを切る。怪しい気配はあるが、状況証拠ばかり。なにか動かぬ証拠は・・?
犯行現場の写真を見直すうち、スローン先生はある“証拠”を発見する。
 
ある日、無人のリンクに、B子は、A子を呼び出す。
「あなたはあたしには勝てない。あたしが一番よ!」B子、挑戦的な口調で言い、あざやかに滑ってみせる。
負けず嫌いのA子、つい“奥の手”を見せてしまう。まだ完成度に自信のない時期の競技会を欠場してまで完成させた、痛む右腰をかばうため特訓した“逆回りトリプル・アクセル”を。
※注・・跳ぶ瞬間の軸足はジャンプによってちがうが、着地はどんなジャンプでもすべて右足である。でも逆回りだと、着地は左足となる。
「見た? トリプル・アクセルを跳べる女子は、このあたしだけよ!」胸をはるA子。
 
ここで、スローン先生と、息子の警部補が登場。
氷上に残された、A子にしか跳べない“逆回りトリプル・アクセル”の軌跡。
あの日、製氷のすんだあとの深夜のリンク、殺人現場の現場写真に、くっきり残された軌跡。
それは、いわばA子の“指紋”のようなものだった・・。
 
容疑がはれ、競技会でさっそうと滑るB子。あたたかい拍手。
勝利者インタビューの人波をかきわけ、スローン先生に抱きつく、B子の笑顔。
(あらすじは以上)