Dr.マーク・スローン/薄氷の女王−4

ここで、このドラマのモデルになったと思われる事件を思い出してみよう。
フィギュアスケート女子の花形選手の1人が、男が飛び出してきて、彼女を刺した。その男は彼女の最大のライバル選手の、関係者であった・・」
どっかで聞いたことあるでしょ? そう、このドラマは、94年リレハンメル五輪前に大騒ぎとなった、あの「ケリガン・ハーディング事件」をモデルにしてる。
ついでに、おさらい。事件は、リレハンメルとおなじ94年1月、全米選手権の開催中に起きた。
暴漢におそわれて膝を負傷したほうがケリガン、知人の男に襲撃を依頼した疑惑があったのがハーディング。
ハーディングは五輪出場停止寸前となり、どうにか出場できたものの、演技中に靴のヒモがほどけたと泣きながら演技を中断。順調に回復したケリガンは、16歳のバイウル(ロシア)と大接戦を演じ、技術点では勝ったものの、芸術点で敗れ、金メダルをのがした。
 
ドラマに話をもどすと。
このドラマは、さらに前の91年の全米選手権、ハーディングが「米国の女子スケーターとして初のトリプル・アクセルを決めて優勝した大会」をモデルにしてると思われる。もちろん、れいの襲撃事件をベースとして。
なぜって、ドラマの中で「国内チャンピオン」って言ってたし、「トリプル・アクセルを跳べる女子はあたしだけ」なんてセリフが出てきたし。
とすると、アマンダがスケートを習ってた6〜13歳の8年間とは?
80年、米国地元のレイクプラシッド冬季五輪の女子優勝者フラチアーニの名前が出なかったことから、仮に79年としよう。この年に13歳。
ドラマの「現在」が91年とすると、アマンダは25歳。
60年代に黒人の少女がスケート習うのは無理としても、70年代に入ってすぐと仮定すれば、70〜77年。とすると、アマンダは27歳。
結論:アマンダは77〜79年までスケートを習ってた。現在25〜27歳。
う〜む。研修医を卒業して、一人前の女医となり、結婚する(注:すでに赤ちゃんもいる)には、ちと早すぎる気もしなくもないが、まったく無理でもないか?
それより、誤差3年で、だいたい納得ゆく結論が出たよ。自分でもびっくり☆
 
しかしね・・ちょっと待て。
「トリプル・アクセルを跳べる女子はあたしだけ」ってセリフの前に「国内で」とか「今回の大会で」って枕詞がつかないと、誤解をまねくぞ。
なぜって「女子で、世界初のトリプル・アクセルを国際大会で正式に跳んだ」のは、伊藤みどりのはずだから。89年パリ世界選で優勝したときが、それだ。2年も早いぞ!
 
このドラマでひっかかる点は、もう1つある。
スローン先生が、過去の競技会ビデオを見て、暴漢に襲われたA子がジャンプ着地失敗でフェンスに激突、右腰をぶつけたのを知るシーン。この場面はスローン先生の自宅で、アマンダもいっしょに見てるんだけど。
アマンダ「ここです。トリプル・アクセルを跳ぶシーン・・」って言って、ビデオをスロー再生にさせる。そのジャンプ、たしかに助走は前向きだが、跳ぶ直前にくるっと半回転、うしろ向きに跳んでる。
つまり、アクセルじゃなくて、フリップなんですけど・・??
アマンダってば、医者になるお勉強しすぎて、フィギュアスケートのこと、すっかり忘れちゃったのね・・(T△T)
 
などと、マニヤならではのつっこみをしておいてと(^m^)゛
このドラマが素敵なのは、アマンダのせりふに出てきた往年の名選手が、ちゃんとゲストで出てること。競技会の場面のTVレポーター役で、ペギー・フレミングが出てる。どうりで美人だと思った♪
冒頭のリンクの場面で、きれいな滑りで練習してるのは、ペアのバビロニア&ガードナーだ♪ アマンダと、リンクを降りてきた2人の「ランディ、タイ、ずっとファンでした」「ありがとう」なんて会話まであるぞ!
こういうドラマがさらっと作れる、米国がうらやましい。いかにフィギュアスケート女子が強いといえど、ここまで資料あさる気にさせ、納得させてくれるTVドラマが、この国にあるか?
つくづく米国か、カナダに生まれたかったと思う、今日このごろ。
 
このドラマ、3/28(月)にまた放送されるんで、よかったらどうぞ。フィギュアスケート好きには、ぜひおすすめ。
『新Dr.マーク・スローン』第3シーズン#3「薄氷の女王」
 CSスーパーチャンネル あさ10〜11時/よる7〜8時
以上です。ふ〜c=(-.-) やっと終った・・。(この項、終り)