シリルの死刑は・・?

ETHAN2005-07-12

『OZ』という、超・極悪刑務所のドラマについては、以前にも書いた。
内容が暗い・重い・野郎ばっかりの刑務所で殺風景、と3拍子そろってるので、脚本と、役者が、いやらしいほど上手い。でなきゃ誰も見まい☆
とくにおすすめは、ライアン&シリルの、オライリー兄弟。メタンガス噴き出すドロドロ泥沼に咲くからこそ、あざやかなアダ花。
平然と邪魔者は殺しまくるが、決して自分の手はよごさない、他人をあやつって殺させる兄。
兄をかばって頭を強打し、5歳児なみの知能になってしまった弟。
 
精神的に不安定なため暴れて拘束され、病室で昏睡する弟。その寝顔をみつめ、兄がつぶやく。
「ガラスみたいにこわれやすいから、大事に扱わなくちゃいけないんだ・・」
兄の背後から、かれの元・彼女である看護婦(暴漢にレイプされ、今は心を閉ざしてる)が問いかける。「なにが?」
兄の答。「しあわせ、ってやつさ」
この話を某友人にしたら「カユいんですけど」と言われてしまったが(笑) これは『OZ』ってメタンガスの泥沼でこそ生きるエピなんで、たしかにここだけ聞けばカユいだけだわな☆
 
刑務所内でも何度も殺人を重ね、弟シリルはとうとう裁判にかけられ、死刑宣告される。最高裁への上訴は、却下。
そりゃないよと、ライアン兄の周囲の人たちはマスコミに働きかけ、死刑反対運動が起きる。(米国の精神的にアレな人の死刑については、まだ基準が確定してないらしい)
死刑にしたい原告側は、シリルは治療で正常に戻ってるという形式をととのえるため、シリルを電気ショック治療にかけるよう申し入れ、それは実行される。
 
最高裁が上訴をみとめた連絡がないため、シリル死刑の日がやってくる。
電気ショック治療ならシリルも慣れてるから、という理由で、死刑の方法は電気イスが選ばれる。「最後の、とくべつな電気治療だよ。好きなもの喰べていい、TVも見ていい」と兄は、弟をだます。
背中まで伸びたシリルの長い金髪は、電気イス処刑のため、丸坊主に刈られる。「おれも切ってやる」とみずからハサミを持ち、弟の髪を切った兄は、その髪をこっそり指にまきつけ、それからずっと、指輪のように指に巻いたままでいる。(このへんが私好み・・♪)
そしてとうとう、処刑場へ向かう時間がおとずれる。
「今日のとくべつな治療には、見学者もいるんだよ。ママや、シスターがね」
「ライアンも来るの?」
「いや、おれは・・」
ここで絶句し、とうとう泣き出す兄。
この場面での、ライアン兄の演技、絶品だった。大げさでも、もの足りなくても、嘘くさく見える場面だが、まさに過不足なし。見てて、思わず唸った。
シリル役の人は当然、文句なしに上手い。そもそもこういう役は、上手い人でなきゃやっちゃいかん役なのだよ。その、シリルと拮抗するからこそ、ライアン兄は凄い。
いよいよ電気イスに拘束され、所長の「最後に言い残したいことは?」との質問にも「はぁ?」としか答えられないシリル。電源スイッチがONになり・・
 
シリル役の人の画像を載せときます。これはまだ、長い金髪を切られる前。
ごらんのとおり、数百年も生きた老人と、無垢な幼児が同居したような、なんともふしぎな顔だちの人。とくに、この眼・・よくこんな役者さんがいたよなあ・・。
シリル役は大ハマリだけど、シリルだけで終って欲しくないなあ、この役者さん。
 
で、シリルの死刑は・・って?
大泣きしながら見てたのに、結末であぜんとしてしまったのは、私だけではあるまい。
結論からいうと、ギリチョンで上訴がみとめられ、死刑は延期。・・いや、いいんだけどさ。
もしかして、もっとエゲツない結末で一度作ったのを、苦情殺到で急きょ作り直したんちゃうか? と思うほど、いつもの皮肉な冴えのない結末でした。う゛〜む゛・・orz