暴動・トバイアスは本当に壊れてるか?

さて。
トバイアスである。(なぜか、シバリョー的な書き出し・・?)
 
ライアン兄に麻薬を教えこまれ、強力なクスリの力を借りて、自分をペットにしてたシリンガーの支配から逃れた(ように見える)、トバイアス。
このトバイアスは暴動中、いかにもクスリで壊れてる感じだったのに、アデビシのように、禁断症状に苦しんでる気配がなかったってことは?
→→アデビシはよっぽど、麻薬依存の度合が深かった?
→→それとも、暴動直前まで懲罰房に入れられてたトバイアスもまた、ライアン兄とおなじように、禁断症状を通過して、ヤク抜きの体だった?
可能性としてはまあ、こっちかな。と、すると・・
→→暴動中の、ぶっとんだトバイアスは、ヤク抜きのナチュラル・ハイってこと? おそろしや☆
 
とはいえ、トバイアスの眼には、まだまだ理性が残ってて、狂乱を演じてる気配あり。シャバでは弁護士、知性の人だったんだもんね〜。
彼にやられ放題でおとなしくしてるシリンガーの、みょうに無邪気な眼つきのほうが、むしろ恐い。
 
シリンガー本人は仮釈放が近いせいか、不気味なほどおとなしい。
代りに、かれ率いるネオナチ一派が、「もとペットの分際で」と、さりげなく威嚇。ことばには出さないが、手でちょっかい出したりする。
トバイアス、神経質になり、ライアン兄がそばに寄ると「あまり接近しないでくれないか」などと注文つけてた・・暴動前には。
 
そのくせ、暴動後のイザコザ収拾に疲れていらだつライアン兄が、サイードに喰ってかかり、サイードの側近に突きとばされたとき。
すかさずその男に棒で殴りかかり、ライアン兄に加勢したのは、トバイアスだった。
すぐに起き上がり、もういい、とトバイアスを制するライアン兄。その手はしばしトバイアスの胸の上に置かれたままだったが「近づくなって言ったろ。その手をどけろ」とは拒まなかったね、トバイアス・・。
(こういうところは見逃さない・・苦笑)
 
そして、瀕死の看守を医者に診せるべきか、ミゲルが多数決を取りにきたとき。(自然発生的に、評議会らしきものが出来てた)
アデビシは即座に「NO!」と拒否。
ライアン兄「なんか得があんのか? ねえなら、死なせとけ」と、これまた拒否。
 
※例の、所長をかばって看守が囚人に殺された事件のとき、その反動から看守が理由もなく殴りまくった囚人の1人が、ライアン兄であった。
ライアン兄は、ふだんから看守に愛想をふりまいて個人的つきあいもあったので、看守をいろいろ利用した経緯があったとはいえ、なんでオレが? と、ややショックだったろう。
ついでに、暴動が起こったとき瀕死状態になるまで殴られた看守は、1人だけだった。ということはこの看守、とくに囚人を殴りまくって怨みを買ってたらしいな・・と推理できる。
『OZ』はこういう説明をほとんどしてくれないので、見てる側が、ことばのウラを読む必要がある。大人の娯楽なんだね♪
 
ライアン兄のすぐ後ろにはアデビシが立ってたが、この棄てゼリフが気に入ったらしく、背後からライアン兄の首筋にキスしてた!?
払いのけるでもなく、とくに拒んでなかったね、ライアン兄ィ・・。
(こういうところも見逃さない・・苦笑)
 
ついでに、アデビシは苦悩もな〜んもなく、あっけらかんとカミング・アウトしてる奴で、いちど露骨にライアン兄に誘いをかけたことがある。このときはライアン兄、ドきっぱり「オレにそのケはねえんだ。さわるな」とか拒んでたけどね・・。
とまあ、腐女子ツッコミはさておき(^_^;A
 
電源が落とされ灯りが消え、催涙弾のスモークの中、楯をかまえた州兵が突入した場面は、奇妙に静かで、美しい光景だった。
青白い照明が、しぶい悲壮感を醸し出し、絶品。
『ルーツ』製作者が、「映画はしょせん、2時間ほど観客を魅きつけるだけだ。TVドラマなら、もっと長い時間、観客を感動させることができる」って発言してたのを思い出した。
たしかに、そうだな・・。あの場面の、あの重みは。
(この項、終り)