『OZ』の『静かなる男』へのオマージュとは

なぜそう思うか、くわしく書いておきたくなった。
 
『静かなる男』は、名匠J・フォードが、故郷アイルランドに帰郷し、想いをこめて作った映画。
主人公ショーン・ソーントンは、ボクサーだったが、試合中にうっかり相手を死なせてしまい廃業、両親の故郷アイルランドに帰省する。
そこで出逢った赤毛の娘にひとめ惚れ、にわか雨の中、彼女をひきよせてキス・・という名場面は、『E.T.』でTV画面に映ってた。(E.T.に出逢って酔ったようになった男の子がこれを見て、女の子をひきよせて同じようにキスしてた)
 
・・と、ここまでくれば『OZ』ファンなら、ピンとくるはず。
『OZ』では、刑務所内ボクシング大会の決勝、オライリー兄弟の弟シリルが、殺しこそしなかったが、対戦相手を植物状態にしてしまう。彼は、けっきょく妻の意志で尊厳死させられたのだった。
 
そして、弟のセコンドになってるライアン兄に、同じ人種のよしみで色々アドバイスする、アイルランド人の看守。
この看守が「もとボクサー」って設定ではなかったか? だからアドバイスできたわけだが・・。
さらに、姓は忘れたが、同僚から「ショーン」て呼ばれてなかったか?(もっともショーンて名は、アイルランドに多い名だそうだ)
 
ここまで一致すれば、偶然じゃないでしょう。『OZ』のこの場面は『静かなる男』へのオマージュだ、と言っていいと思う。
 
弟シリルが眠れない夜「ママが歌ってた子守唄」をねだると、ライアン兄が歌ってやったのが『アイリッシュ・ララバイ』。これは映画『わが道を行く』でビング・クロスビーが歌った曲だということは、以前に書いた。 →くわしくはこちら
 
残酷シーン、同性愛の露骨な性描写など、過激さ・強烈さのウラに、『OZ』にはこういう側面もあったんですね〜。
 
:それにしても、長年J・フォードのファンなのに、見てすぐピンとこなかった自分がくやしい☆ 『静かなる男』は、ン十年前に一度見たっきりだからな〜。劇場で見られたのは倖せだったが。