追悼マイケル・ジャクソン-4 BADは壮大な失敗作。(後)

マイケル亡きあと、自分でもこんなに語りたくなるとは思わんかった。カテゴリーにマイケル立ててみました。で、前回のつづき。
 
MTV『BAD』最大の誤算.テーマ選びの失敗。
『スリラー』のテーマは恐怖、これは思想でも、感情でもなく、本能、感性、そういったもの。ブキミに作れば作るほどユーモアにも近づくという、もて遊ぶ余地のある、自在な素材。歌詞の意味なんか添え物で、理屈ぬきに、子どもでも楽しめる。芸術、美学、主張とかは必要ない。だから、よかった。
 
ところが『BAD』のテーマは「本物のワルとは?誰?どんなもの?」って、これはもう感性じゃ処理できないテーマ。はっきり思想とか、信条が必要。
なのにマイケルは、これをも感性で表現しようとしてる気がする。
『BAD』はNHK追悼特番、再放送まで追っかけて2度じっくり見たが、何度見ても見終えたあと「・・で、つまり"Who 's BAD?"の答は?」って疑問しか残んないのね。答になってない。饒舌なわりに何ひとつ語ってない印象。
なんとなく、感性での“ワル”を見せられたな〜、と思うだけ。
 
たぶんスコセッシも、この主張のなさに戸惑いつつ、とりあえず芸術的に美しい映像に徹した。手を抜かなかった。だからよけい、内容の空疎さがめだつ結果になっちゃった。
 
正直、あれほどマイケルやバックダンサーが頑張ってんのに、印象度からいうと、前半のスコセッシのモノクロ映像の方が(私の中では)僅差で勝ってんだよね・・ほぼ、互角とは思いつつも。
MTVなのに、ダンスと歌が負けてる。これを失敗作といわずして、なんとしよう?
 
でも・・失敗は失敗でも、セコいのじゃなく、壮大な失敗作ってとこが、さすがマイケル。皮肉じゃなく、そう思うよ。