草なぎ剛「事件」ならぬ「過失」について思うこと。

今回の「事件」ならぬ「過失」騒動について。
ぢつは10年来の草なぎ剛ファンだったりするので・・
なぜ?というあたりを、想像してみた。
 
草なぎ剛の初主演ドラマが『いいひと。』
これが好評だったことで、ひとつの路線が
固まっちゃった気がする。
 
ほぼ同時期に、草なぎ剛は別方面の挑戦をしてた。
『すま×2』でもパロやってた『沙粧妙子SP・帰還の挨拶』
スタンガン悪用する銀髪の連続レイプ犯・百合岡!
 
この悪役は、意欲的だったけど
ちょっと消化不良の印象で・・
(スタンガンの取り出し方がモタモタしてて、
とても前科2犯には見えなかった・・苦笑)
 
でも、極悪なのに妙にカラッとしてて、印象的で。
もっと年齢が進んで、演技力ついたら
ああいうの再挑戦してくれるといいな、と思ってた。
 
映画『ホテル・ビーナス』あたりで演技力も伸び、
そろそろ悪役路線いいかな、と思ってたのに。
  
一度世間に浸透した「いいひと」イメージから
草なぎ剛は、なかなか路線変更できないみたいで。
本人がそれを望んだのか、
周囲が望んだのに応えたのか・・
 
いいひとも、いいけど。いいんだけど。
その反面、違うでしょ、違うでしょ、と思ってたのも確か。
ファンでさえ、そう思ってたんだから、本人は・・
  
つらいんだよね、クリーンな印象保つのって。
自分だけ、世間からいつも清潔さ求められるのって。
そんなストレスがつもりつもって
お酒にのめりこんでっちゃったのかなあ?
 
今回の件が、結果的に役者・草なぎ剛
大きな転換点になるといいなと、心から願っています。

『ヒトラー〜最後の12日間〜』拾いモンだ、これ!

先日、AXNのフライデーナイトプレミアムで放送された
ヒトラー〜最後の12日間〜』(2004.独)
 
内容は、タイトルそのまんま。
ヒトラーの秘書だった女性の、回想形式の物語。
ざんごうの中で子どもたちが合唱したり、
ちょっと女性の視点が入るあたりが
いやでも暗い物語の雰囲気を、少しやわらげる。
 
特に印象的だったシーン。
ゲッペルスの妻・マグダが、
6人いる自分の子どもたちに睡眠薬を飲ませ
(最年長の13歳の娘だけは、不吉な予感がして
飲むのを嫌がるのが悲惨・・)
眠りこんだ子ども1人々々に、毒薬のカプセルをかませ、
顔にふとんをかけておおってやる。にゅっと足が出る。
これを6人分、ひたすら淡々と、えんえん撮りつづける。
 
すべての子をわが手にかけたマグダは、
寝室を出たとたん、無表情のまま、すとんと床にすわりこむ。
やがて、ふらっと立ちあがり、テーブルの前にすわり
無表情のまま、黙々とトランプの1人占い・・
 
じれったいほど省略のない、一定のゆるやかなテンポ。
米国のハリウッド風映画文法に慣れた眼に、新鮮。
残酷な場面の特撮シーンも、ハリウッド風より
ちょっとずつ短く、それが切れ味と気品を生む。
 
湿度の高そうなフランスやイタリアと違って、
ドイツって何か、陽なたのホコリくささみたいな
独特の乾いたふんいきがあるのが好ましい。
 
なにより、ドイツ映画なんで、全編ドイツ語。
独特の早口の巻き舌が、えも言われぬ臨場感!
 
ヒトラー役の役者さん、そっくりだー!
まあ演技は、ヒステリックに怒鳴ればほぼ似るんだろうが。
笑った顔とか、やつれて凄みを増した顔になると
ヒトラー本人というより、手塚治虫アドルフに告ぐ』の
ヒトラーそっくり! 手塚さんて、凄い・・
 
ちなみに、ヒトラーは毒薬のカプセル噛み、
効くまでの一瞬に銃で頭を撃って自決してた。
ぜったいに失敗しないための、二重の方法か。
こんなの知らなかった・・堅実なドイツ人らしいが。
 
なにより、影の主役(ていうか、実はこれが主役?)
ナチス制服のあらゆるパターンが、ふんだんに出てくる!
親衛隊あり。ヒトラーユーゲントあり。
もちろん、匂いたつ優雅な野蛮さの極致、革コート姿も!
 
オーラスは、ロシア軍の侵攻場面なので
ロシア軍の軍服まで拝める!
野外で羊?の丸焼き作りつつ
輪になって歌い、踊るロシア兵たち・・
 
内容の悲惨さに涙しつつ、しっかり見惚れてる自分がいた。
軍服ってのは、どうしてこう、美しいのだ〜!
とくにナチスと、ロシアの軍服って、史上最高!
戦争賛美とはまったく別の次元で
それは1つの真実と思うのよ〜。
 
戦場シーンは迫力あるのに、どこか静かな印象。
変にナチスを悪役に仕立てず、
ありのままを見せる、大人向けの映画。
2時間半と長いけど、興味ある方はどうぞ!
(どーも最近、派手な特撮モノより、
こういう地味で質のいい作品が好きだな・・)

さいきん『BONES』が面白し!

や〜『BONES』シーズン2-#9「届かぬ地中の叫び」は傑作。再放送まで見て、2回めに見ても感動した。
 
!!以下ネタバレの可能性あり・注意!!
 
人質を地中に埋めては、身代金を請求するシリアル・キラーがいる。その犯人による未解決事件の被害者が、ぐうぜん地中から発見される。その捜査に関わるうち、ブレナン博士自身が犯人に襲われる。ラチ場面を目撃した同僚・ホッジンスもまた犯人の車にはねられ、2人とも車ごと地中に埋められてしまう。車内の空気がなくなる時間が刻々とせまる・・
 
・・とまあ、ここまではわりとよくある設定だが。
ブレナン博士は骨の、ホッジンスは土の専門家。
車ごと埋められたため、2人とも手荷物を持っており、飲料水・ケータイ・デジカメ・恋人に贈るつもりの香水なんかが手元にある。
 
土の専門家ホッジンスは、車内にこぼれた土を見、かんたんな実験をして、ずばり自分のいる場所を推理してしまう。
2人はケータイを一瞬だけ車のバッテリーにつなぎ、数文字の暗号のようなメールをオフィスの同僚に送る。
オフィスでは、それを原子番号と、ある特殊な混合物による土の成分だと気づき、ずばり、車の埋められた場所を特定する。
 
さらに、ブレナンとホッジンスは、デジカメ電池と防腐剤を化学反応させ、ドタン場で酸素を作り出しさえする!
およそ、このテのネタで、これほどスリリングで面白いと思ったのって初めてだよ。ま、ネタバレはこのへんにしとくが・・
 
や〜、お見事な脚本。本当にこのメンバーでしか成立しない話を、よくぞ作り上げた!スリリングなテンポの速さも素晴しい!中盤で「もう酸素がない」カウンターの数字がゼロになる演出もうまい!
 
BONES』って開始当初は、FBI捜査官・ブースのなじみの店にブレナン博士の部下一同がどやどや来て、死体写真を広げたり、事件の話をしながら、臓物入りスープ注文したり・・って演出があざとくて好きじゃなかったが。(死体も思いっきしエグいしね・・)
最近、脚本よくなったな〜ほれぼれ♪ とくにクリスマス・ストーリーは、オールド・ファッションの味わいがあっていい。毎回、感心する。
お気に入りのシリーズが1コ増えて、うれしいぞと♪

『スポーツ大陸』浅田真央特集、やや失望☆

NHKドキュメンタリーは荒川静香の『レベル4への挑戦』が素晴しかったから、期待してたんだけどね・・。
スポーツ大陸浅田真央特集には、正直、ガッカリした。
 
たぶん、初心者向き内容を狙ったんだとは思うが。
ジャンプには6種類あり、真央ちゃん得意の3アクセルは
もっとも難しく、これこれの点になります。
しかし、回転不足で2回転にダウングレードされると
こんなに点が下がってしまうんです・・。
 
だーかーらー、その「回転不足」って何なんだ!?
今季やたらよく聞くわりには、よく判らないポイント。
それをこそ、映像で説明しなくちゃいけない点でしょうが。
見ててイライラしてしまった。
 
しかも「ここではアクセル跳ばず、他ジャンプに変更」って、
何のジャンプに変更したか、説明しようよ。
せっかくスロー画像で見せてるんだから。
作ってる側が、ジャンプ種の見分けつかんのと違うか?!
そんな気さえしちゃったよ。
 
初心者向きならなおさら、こういう細かい点を
きちんと説明して、充実させないと、
フィギュアスケートのファンが定着しないと思うよ。
 
「FPに3アクセル2回入れたい」という意志を
なぜ真央ちゃんは、なかなかコーチに言えなかったか?
完成度に自信がない? それとも説明力に?
コーチは、本人から跳びたいと言い出すのを待ってた?
そのへんも説明不足で、よく判んなかったし。
 
FPから、スピン要素が1つ減り、15秒あまった。
キム・ヨナは、それを全体に配分し、余裕をもたせた。
真央ちゃんは、その15秒をそっくり
後半のストレートライン・ステップの時間にあてた。
それがスケーターにとって、どれほどしんどいことか・・?
これまた説明不足で、よく判らんかった。
 
タラママや、キム・ヨナのコーチのオーサーに
インタビューしてたわりには、薄い内容・・☆
 
不満だらけの番組だったが、1つだけ拾いモノ。
FP振付したタラママが参考にしたという
往年の映画「仮面舞踏会」の映像。
あのステップは、愛する夫に毒を盛られて
瀕死の妻の歩きっぷりのイメージだったのね!
(そのわりには、長時間えんえん歩いてたが・・笑)
 
とはいえ、真央ちゃんにあの悲痛なイメージを
表現せよというのは、まだ無理、とも思った。
 
ともあれ「仮面舞踏会」は、文句なし名作FP。
1シーズンで完成できるようなシロモノじゃない。
来季もじっくり滑りこんで、バンクーバー五輪
この演技で行くんだと、信じてるよ。

「TSUNAMI」はよかったよ〜

去年の年末、NHKで前・後編放送された「TSUNAMI」。
例のインド洋沖大津波のドラマ。地味だが、秀逸。
ふと見始めたこのドラマのおかげで、大そうじの予定が大幅に遅れて、困った。なにもギリ年末の夕方4時から放送せんでも・・☆
 
メインは英国から遊びに来た、親子3人の黒人一家。
ママは1人でダイビングのオプショナル・ツアー?参加。
パパは幼い1人娘と、海岸に残る。娘の浮き袋を取りにホテルへ引き返し、部屋のカギを取り出そうと、ほんの一瞬油断した瞬間に、大津波が・・・・!
 
生き残った夫婦の再会。感動は、すぐののしり合いに変わる、そして・・
楽しい話じゃない。ハッピーエンドじゃないし。
1人娘は行方不明。ネットで画像見つけて大喜びで会いに行くと、よく似た別の子だったり。(この子を連れ出してしまうママ、それを止められないパパの姿がつらい)
 
役者の演技が、たまげるほど上手い。それが、よくあるエピソードの地味なドラマを、上質にしてた。(とくに娘の遺体確認シーンを、表情だけで見せる女優の「泣き」の演技、素晴しい!)
 
めちゃ上手い役者ぞろいの中、とくに印象に残ったのが、英国人ジャーナリストの男。
前編では、死体安置所で死者にかけられた布を片っ端からめくり、白人の死者を数えたり。
「伝染病を防ぐため」と僧侶が身元不明の遺体を火葬にする場面を撮り、本国に送ろうとして、現地人カメラマンとケンカになったり、強引なマスコミぶりを発揮してるんだが。
 
後編、このジャーナリストは、1人娘の行方をさがすパパと酒場で知り合い、こんなウワサ話を聞く。
「村が1つ、まるごと津波で流された。村でただ1人生き残った男(ホテル従業員。このパパと仲がよかった)が、1人で小屋を建ててる。彼の一家はじいさんの代から、村に住んでた。しかし開発業者と役人がつるんで、その村の跡地に新しいホテルを建てようとしてる・・」
 
このウワサを元に、ジャーナリストは村の跡地を取材、大スクープをモノにする。
ジャーナリスト、ひとあし先に妻子の元へ帰った現地人カメラマンと、ケータイで話す。
「やったな。おめでとう」「ああ・・やったよ」
祝福の声に、そう答えるこのジャーナリストの、晴ればれしていながら重く、倖せと苦痛の重さを同時に耐えてるような眼が、忘れられない。このジャーナリスト役の役者はティム・ロス。(あんまり気に入ったんで、ネットで調べちゃった)
 
もう一度、じっくりゆっくり味わって見たいんで。深夜にでも再放送たのみますよ、NHKさーん!

筑紫哲也を忘れない。-2(完結)

思えば、筑紫さんとキャスター人気を
競ってた久米宏が、週1回とはいえ
TBSで報道番組やってるなんて、信じらんない!
それも、かつて久米宏の看板番組だった
ニュースステーション」のウラ番組で!
(いろいろあったんだろーなー・・☆)
 
で、前回のつづき。
筑紫さんというと思い出すこと、その3。
なんといっても、カープのリーグ優勝見に行き、
広島球場の観客席で、カープ帽かぶって
うれし泣きしてた姿。
 
これに一番泣けたなぁ〜、ぢつは!
現在みたいに、才能流出のない時代。
まだカープが優勝できる力があった、最後の時代。
たぶんもう、こんな時代はこないだろう・・。
 
筑紫さんというと思い出すこと、最後に・・
ニュース23」が、報道中心の第1部と
特集中心の第2部に分かれてたころ。
この時代の第2部は、まさしく黄金時代!
 
対談では、下向いてスカートいじくってて
まるで人見知りする少女のようだったのに、
歌い出すと、カメラが追いきれないほど動き回り、
古代の巫女のようだった、ビョーク
 
「カネのあるところというのは、カネにしか
興味のない人間が集まってくるんです」と静かに語った
ダンス・ウィズ・ウルブズ』時代のケビン・コスナー
 
ニュース23」の「最後の晩餐」では
「人生の最後に何が食べたいって?何言ってるんだね
きみは?」と、まったく相手にしなかったのに
「ここへ来て、やっとマトモな話ができる」と
ホッとしたように笑ってた、アンソニー・ホプキンス
 
筑紫さんが「貴方はスペイン人ではなく、
カタロニア人だということですが・・」と聞くと
「カタロニア」と聞いた瞬間、ピンと背筋を伸ばした
三大テノールの1人、ホセ・カレーラス
 
(若い人集めて、ディスカッションやったら
1人の若者が「人殺しって、なぜいけないんですか?」と発言、
あまりの驚きに、誰もマトモな答が出来なかったのも
たしかこの番組ではなかったか?)
 
あの時代の「ニュース23」は、
本当にいろんな貴重な思い出もらった。忘れられない。
ぜったい忘れないよ、筑紫哲也とともに。
(この項、終わり)

筑紫哲也を忘れない。-1

筑紫哲也、肺ガンにて死す。73歳。
覚悟はしてたけど、こんなに早いなんて・・(T△T)
追悼「ニュース23」を見終えたんで、書きにきました。
たぶん1回じゃ書ききれないんで、まずは第1回。
 
何年か前は、久米宏ニュースステーション」、
筑紫哲也ニュース23」とハシゴするのが、毎日の習慣だった。
同じニュースを、ちがう切り口で解説するのが面白くて。
 
たとえば・・ある日の「ニュースステーション」で
終りぎわに飛びこんできた大スクープ。
貴花田(もう貴ノ花だったかな?)と宮沢りえ婚約!?」
えー!?本当かよー!?首をかしげた人、多数。
ニュース23」が同じニュース報道するの聞いて
「ああ、筑紫さんが言うんなら、本当なんだね」
そこで納得した人の多かったこと!私もふくめて(笑)
 
筑紫哲也というと、まっ先に思い出すのは
「今日は筑紫さんのお誕生日なんですよ」と
なにげに女子アナが話題をふった瞬間、
「よけいなこと言うな!」とピシャリとさえぎったこと。
じつは筑紫さんの誕生日は、沖縄戦の日にあたるそうで
誕生日だからって浮かれる気になれないそうな。
(「ニュース23」はいまだに、どの番組よりも
沖縄についての報道がくわしい伝統がありますね・・)
 
筑紫哲也というと思い出すこと、その2。
結婚前の田丸美寿々が、ある時、話してたこと。
「電車の中で、本を読んでる筑紫さんを見かけたんです。
ときどき前髪をかきあげながら、本のページを繰る
その指がすごくキレイで、素敵だなぁ、と・・」
なんか、映像が思い浮かぶよーだなー!
 
(その3以降は、また次回に)